2017年03月11日

名(迷?)作映画を観よう - ニュー・シネマ・パラダイス -

いつもB級映画をレビューしていますが、
今回は音楽が良いと評判のニュー・シネマ・パラダイスです。
この作品を語る上で外せないネタと言えば

「ニューシネマパラダイスは果たして名作映画なのか?」




私自身のこの問いに対する感想は
「劇場公開版は確かに名作映画であり、映画時代の背景も反映し、演出も素晴らしい」
「完全オリジナル版は正直長いし、追加分の蛇足感が否めないB級映画」

初めてこれを ”完全オリジナル版” で見るのは苦行以外の何物でもないと思う。

話の内容より音楽の方が有名なので、簡単に話を纏めると

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ローマに住むある初老の男性サルヴァトーレ(愛称:トト)にある人の葬儀の連絡が来る。
そのことを聞いた男性はベッドの中でその人との過去の思い出に浸る・・・

亡くなった人の名前は映写技師のアルフレード
会ったばかりのころは意地悪で映写室に興味のあった映画好きの僕をいつも厄介者扱いしていた。
だけど、少しずつ打ち解けていき映写技術も見よう見まねで教わった。
ある日事件が起きた、映写中のフィルムが燃えて映画館パラダイス座が火事になってしまった。
アルフレードも火傷で目が見えなくなり街に唯一の映画館が無くなってしまった。

そこに一人の男が立ち上がった、
「金ならある」その男が街の憩いの場の映画館を再建し、
「新パラダイス座」(ニューシネマパラダイス)を作り、
僕はそこの映写技師になった。
そしてアルフレードと再び映写室で再会した。

そのころ僕は映画を撮る方にも興味が出てた。
今や映画人として僕の名が知られている。
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かなり端折るとこんな感じです。

映画の題名の示す通り、この映画自体が映画の歴史である
この映画の中でも30以上の作品が登場し、
登場しなかったそれ以前の映画は言葉で説明された。

PDVD_128.JPGPDVD_129.JPG

昔のフィルムが燃えやすいということも冒頭で説明されている。
トトが内緒で集めていた映画のフィルムで家がボヤ騒ぎを起こす。

PDVD_131.JPG

このシーンで特に描かれていないけれど、
このボヤ騒ぎで家族の写真、特に現在は戦地にいて連絡のない父親の映っている唯一の写真が燃えてしまった。
これに対し母親が取り乱しながらトトを怒っているとすれば、
母親とトトのその直後のセリフがかなり深くなると思う。

「お父さんにしつけてもらうからね!」
「お父さんは戦場に行って死んだんだよ!」


父さんはもういないと思っているトトと夫の死を考えたくない母親
このシーンで”写真のかけら”を持っているのがアルフレードで、
詫びの言葉すら思い浮かばないという心境を言葉少なく演じている。

この映画で好きなシーンは幾つかありますが
あえて挙げるならこのシーンです。
映画が好きで映写技術に興味を持ち、アルフレードを尊敬していると思うシーン
映写技術を教えてもらっているところですが・・・

PDVD_132.JPG

見事に服装まで一緒!!

ここのシーンで映写機が出火しやすいということも教えている。
これは長年アルフレードが映写技師をしていても避けられないこと、
いつか起こり得るだろうと予想させてくれたが
一番楽しい時間の中に、それを持ってくるあたり監督の演出が憎いと思った。

PDVD_141.JPG

演出と言えばアルフレードとの再会シーンはこの映画の一番の見せ場
新しくなったパラダイス座で働くトトに
「お前はもっと大きなことができる、こんなところで働く事も無い」
と諭すシーン

PDVD_147.JPG

目の見えないアルフレードは手でトトを見ているけれど

PDVD_142.JPGPDVD_145.JPG

視力は失ったが前より良く”見える”ようになった
と言った瞬間

PDVD_146.JPG

トトの青年期が始まる
長い間アルフレードに会っていないというのをここで表現している。
ここの年代ジャンプの手法は素晴らしい・・・

細かい演出はところどころにあり
暴力シーンでみんなが顔をそらす中一人の男性だけ普通に楽しんで観ていて

PDVD_133.JPG

「あれ?俺だけ?」 と周りを見渡したらもう一人女性が同じ反応していて
別のシーンで一緒に映画を観ていたり

暴力シーンでショック死した観客の席に花束が添えられていたり
感動的なシーンで先に台詞を言う観客など
個々人が個性的でただのシーン転換にしていないところが面白いです。

主に青年期は映画撮影に興味を持ち、恋愛等もあるけれど
あえてここでは触れないでおきます。
細かい演出がありすぎて、書ききれないというのもあります。

そして問題の中年期
そうです、完全版で追加されたシーンと言うのは中年期の恋愛なのです。
正直、昔の恋人によく似ている人を見かけて、その人の家を突き止め
その人の母親が自分の元恋人で云々の流れが
過去をズルズルを引きずっている感じがしてどうにも好きになれない
捨てていないフィルム保管の用紙を昔の映画の題名から時期を予測し探すシーンとか
この ”一本違う道” を進んでいれば映画人にはなれなくても恋愛を続けていたんじゃないか?
ということにサルヴァトーレが気づくというのはあってもよかったと思うけれど
さすがに1時間近くやる必要もなかったと思う。

昔の恋愛を忘れられず結婚しないまま、夢だった映画の仕事をこなしているトトことサルヴァトーレ
そんなトトへ映写技師の師であり、父親のようなアルフレードからの最後の贈り物は1缶のフィルム
その中に入っていた映像は当時で言えばポルノシーンとされた情熱的な恋愛シーン
ここのシーンは色々と憶測が議論となりますが、

私の場合は

『 トトの映画は過去の恋愛に囚われ、
 情熱的な恋愛シーンを意図的にカットしているんじゃないのか?
 もう一度情熱的な恋愛を思い出してほしいと思って、
 昔、お前に ”あげる” と約束して私が ”保管” していたフィルムを渡そう 』

と言うメッセージじゃないかなと思いました。
昔、切り取ったフィルムのシーンは暴力シーンもあったはずなのに、
フィルムの内容が主に ”キスシーン” なのは多分こういうことなのではないだろうか?
観客でも忘れていたフィルムの存在
しかし、そのシーンを見た瞬間これまでの思い出が一気にぶわっと走馬灯のように蘇る
ラストシーンはみんながトトになりきって色々なメッセージを考えて見るものだと思います。

色々書きましたが、私がこの映画を勧めるならば『劇場公開版』(2時間程度)です。
完全版は中年期が追加されているが、パラダイス座での物語ではないのに1時間耐える必要はない。
それに中年期のシーンは事細かに語りすぎていて、劇場公開版とストーリーの主題が変わりすぎている。
それに映画館であった個性的な観客たちが中年期には居なく、
淡々と主人公だけで話が進む別映画を見ている感覚、
それなら観客に物語を想像させる余地がある ”劇場公開版” の方が映画としてうまく出来ていると思う。

何より私の好きなシーンが多いところがトトの少年期にまとまっているというのもあるので
是非、この映画を見るならば『劇場公開版』でお願いします。

PDVD_153.JPG
posted by MaRio at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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